第167章 私がこれから書くのも、『遠島御百首』です

客席はざわざわと囁きに包まれ、ステージ上の審査員たちもどこか落ち着かない様子だった。

「会長、この件……どこから調べましょうか」

ひとりがそう問うと、大島史也は即座に言い渡した。

「紙と筆、それから墨を持ってこい」

その一言で、審査員たちは意図を悟る。

この場で本人に書かせる。もし提出作と違うものが出てくれば、彼女の主張が真実だと証明できる。

ほどなくしてスタッフが、筆墨と紙を運んできた。

大島史也は橘結衣へ視線を向ける。

「結衣。さっき書いたものを、いまここで、最初から最後まで同じように書き直せ」

そして念を押すように続けた。

「もしスクリーンに映っている字とまったく違...

ログインして続きを読む